トラブルや困りごとは、後から振り返って、笑うためのもの。
そして、誰かを救うもの。
私が小学校六年生の時のことです。
高原学校という修学旅行のような時のことです。
那須サファリパークに行った帰り、なんと迎えのバスが来なかったのです。
宿まで結構な距離があるはずですから、おそらく途中まででしょう、みんなで歩いて帰ったことがあります。
その時、当時の校長先生が、
「こういうトラブルばっかり、後で覚えているもんだよ」
とおっしゃって、笑っていたのをよく覚えています。
そういえば、何年か前、臨海学校に行くぞ、と集合し、いざ学校を出発!という段になって、
「バスが来ていない!」
と、荷物を摘みに行った先生から連絡が入ったことがありました。
なんと、バス会社の人が、パソコンへの入力を1日間違えていたのだそうです。
それからは、本当に大変でした。
100人以上の子どもたちと見送りのお母さん方をどうさばいて、どこに入ってもらうか。
これは学校ですから教室もあるので、何とかなりました。
で、結局、今日、バスは来るのか…
千葉のバス会社だったのですが、非番の運転手さんをかき集めて、今から向かう、と連絡がありました。
では、到着までどうするか。
お昼ご飯はどうするか…
これはエージェントの社長さんがコンビニを駆け回り、一人あたり2個のおにぎりを買って来てくれました。
並行して、お母さん方に、どう説明するか…
「え〜!?」
講堂に響き渡った、あのお母さん方のハーモニーは忘れられません。
その時、私は担任をしていなかったので、嵐のように午前中が過ぎたのをよく覚えています。そして、今でもこの顛末は、ちょっと古い先生たちの間では語り草になっています。
いすれにせよ、トラブルがあったからこそ、あとあと、みんなで笑えるネタになっているのです。
もちろん、バスが来なかった話なんて、軽い話です。
思い出したくもない、人には言えないトラブルや困りごとに悩んでいる方、悩んでいた方もいらっしゃるでしょう。
そんな方に対して、さあ、それを笑いましょう、と言っても、なかなか共感はできないと思います。
それは当然のこととして、踏まえた上で、そのトラブルや困りごとは、笑い話、というよりも、誰かを救うことにつながっているのかもしれない、と心の片隅には置いておいてほしいのです。
私だって、いろいろなトラブルや失敗をしてきました。
こんなお母さん向けの活動をしているのも、かつて、私はお母さん方との付き合い方に悩み、たくさんお叱りを受けてきたからです。
私がコミュニケーションにこだわっているのも、かつて、私の未熟な言葉や態度が、数多くの子どもたち、お母さん方を傷つけた(傷つけている)からです。
トラブルや悩みごとは、後になって、みんなと笑いあえる素晴らしい体験だし、誰かを救う経験でもあるのです。