お医者さんで名前を呼ばれて、走る子を育てるか、堂々と歩く子を育てるか。
先日、ある病院に行きました。
吉祥寺の駅に近い皮膚科なのですが、ぼんやり待っていると、気づいたことがありました。
名前を呼ばれると、慌てて荷物をまとめ、落とさんばかりに焦って雑誌を片付け、転んでしまうんじゃないかと心配になるほど、慌てて診察室に向かう人…
逆に、まったく焦ることなく、優雅な身のこなしで、雑誌を棚に戻し、受付の人に笑顔を振りまきつつ、診察室に向かう人…
さあ、どっちがいいんだろう、と思ったのでした。
私が子どもの頃は、親や祖母などから、名前を呼ばれたら、ハッキリ返事をして、診察室に入ったらご挨拶とお辞儀をして…
と、マナー講座のごとく、お医者さんへのかかり方を言われたものです。
それはそれでいいと、もちろん思っているのですが、逆に、堂々と(横柄に、ではなく)診察室に向かう、動じない姿勢って、けっこう大事なのではないか、とも今は思います。
私自身、人に嫌われまい、できればよく思われたい、と生きてきましたし、今もそうです。
そこで、人の期待に応えすぎることの課題を、このブログでもたびたび、書いてきました。
そのテーマが常に頭にあるからでしょうか、皮膚科で、こんなことに思い至ったのでした。
日本人としての文化、ご家庭が大切にしたいマナーを躾けることは、とても大切です。よく思ってもらうことも大切です。
が、キチンとしすぎないのも、やはり大切だと思います。
キチンとしている子が、一目置かれる存在にもなりますが、煙たい存在にもなります。
自分に厳しすぎることは、他人にも厳しいことになりやすいと、私は感じます。
お医者さんに呼ばれて、走らずにはいられないお母さん!
よかったら、今度は、堂々とレッドカーペットを歩く気持ちで、診察室に向かってみてください。
きっと、何も変わらないと思います。
現に、私は、その後、名前を呼ばれて、普通に診察室に向かってみました。
すると、先生は、まだ診察室にいませんでした…
そんなものです。
でも、なんとなく新しい風が吹いた心地よさがありました。