意外と要注意な言葉
「やればできる」
子どもが一気に、やる気になる魔法の言葉を教えてください!
そう言われたことがあります。
もう何年も前のことですが、
う〜ん…
と悩んでしまったのを覚えています。
言葉だけで人を動かすのは難しいと、私は思っていますが、
とはいえ、言葉にも大きな力があります。
皆さんも、誰かからかけられた言葉で、励まされたり、やる気になれたり、
あるいは、一気にやる気を失ったり、腹が立ったりしたことがあるでしょう。
さて、そこで、今日、皆さんに気をつけてほしいな、という言葉を一つ、ご紹介します。
それは、
「やればできる」
です。
え?
少し前は、よくCMで耳にしましたけど?
ですよね。
実際、私も、時々、子ども達に言ってしまうことがあります。
が、これは、やはり要注意な言葉です。
ちょっと気をつけてみると、わかっていただけると思います。
やればできる、ということは、今はできていない、ということです。
つまり、励ましてはいるけれど、現状の否定がスタートということなのです。
敏感な子は、その前提を理解し、
「私って、ダメなんだ」
と、思ってしまいます。
一般的には、それほど気にすることではないのです。
たとえ、今がダメでも、何度かやっているうちに、成功を体験し、
「だいじょうぶ。できるようになった!」
と、自信をつけていくからです。
ですから、
「やればできるよ」
と、声をかけてはダメというわけではありません。
気をつけたいのは、敏感で、繊細な子です。
こういう子は、人一倍、わかってもらいたいし、認めてもらいたい。
でも、うまくやれなかったらどうしよう…
と、人一倍、失敗を想像して、動けずにいます。
そんな子に、
「やればできるんだから」
と声をかけると、
「だよね。やっぱり、今のボクはダメなんだよね。やっぱり、お母さんはそう思ってたんだ」
と、そこまで思ってないよ!というレベルまで、どんどん、自分を責めていきます。
そんな子たちの心のメカニズムに気づいてから、私は、
「だいじょうぶ。できなくても平気。いや、普通はできないよ」
と、声をかけることもしています。
この声かけのいいところは、
・できなくても平気、という前提を教師が示した。
・よ〜し!普通はできないことをやってやるぞ!という気になる子が出る。
などがありました。
まあ、あの手この手ですね。
絶対にうまくいく言葉もないし、絶対にダメな言葉もありません。
いろいろ、試していきたいですね。