子どもの口ぐせに思う、言葉の奥にある自信の大切さ
「クセ」が怖いのは、自覚もなく、習慣化していることです。
私はたくさんの子ども達と関わってきましたが、その中で、
「何?悪い?」
が口ぐせだった2人の子どもが印象的です。
まず、Aくん。
彼は、何かと言うと、
「何?悪い?」
と答えるのがクセでした。
ある日、Aくんは制服のワイシャツの襟が立っていました。
それをクラスメイトの一人が、立ってるよ、と声をかけてあげたことがありました。
その時も、Aくんは、
「何?悪い?」
と答えていました。
Aくんには、面白いところもあったので、一人ぼっちになってしまうことはありませんでしたが、何かと言うと、
「何?悪い?」
と返されるのも、ちょっと嫌ですよね。
本人としてみれば、相手を責めるというよりも自分を守りたい、という心理のくせなのではないか、と私は感じていました。
私の勤める学校では、クラス替えがなく、6年間、同じメンバーと過ごします。
ですから、まさに家族と同じ。
少々気になることを言われたとしても、他の良さもわかっていますし、対応の仕方も慣れたものなので、関係を築くこともできました。
が、いつもそれでは、無用なトラブルも生んでしまいそうです。
さて、もう一人の「何?悪い?」の子、Bちゃんです。
この子は、ハキハキ、サッパリ、という印象の子でした。
彼女も、何かと言うと、
「何?悪い?」
と言うのですが、彼女の場合、よく覚えているシーンは、こうでした。
Bちゃんには、仲良しのCくんがいました。
3年生ともなると、あまり男の子と仲良くしていると、からかわれることもあるものです。
Bちゃんも、ある日、またCと遊ぶのかよ〜と、言われたのでした。
そこで、Bちゃんが答えたのが、
「何?悪い?」
でした。
ここまでハッキリ、悪びれずに答えられては、もう返す言葉もありません。
それ以来、そんな指摘は、ありませんでした。(少なくとも、私が把握している限りでは…)
「何?悪い?」
という言葉は、まあ、いい言葉ではないかもしれません。
相手に攻撃的な印象を与えやすい言葉です。
だとしても、まだ心の柔らかい子ども達は、その奥にある気持ちをきちんと把握して、関係を築くことができます。
自分の気持ちを、落ち着いて、どっしりと伝えることは、相手の気持ちも鎮めることができるようです。
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