子どもの心を静めるヒント
代わりに言葉にしてあげる。
今日のヒントは、低学年以下の子を対象にしたものですが、場合によっては、高学年どころか、思春期を経て、大人でも、場合によっては、うまく使えるかもしれません。
昂奮している子にとっては、早く気持ちを静めたいのにできないのは、苦しいことです。
そんな時、
「どうしたの?何があったの?説明してごらん」
などと、どうにか事情を把握しようとされるかと思います。
が、興奮は興奮を呼ぶので、なかなか、うまく説明できないことが多くあります。
ケンカして泣いている低学年の子を想像していただけると、わかるかと思いますが、泣くばかりで、結局、何があったのか、誰が、どうしたのか、ちっともわからない、ということは、よくあります。
まあ、これは低学年の子に限った話ではないかもしれません。
大人だって、腹にすえかねることがあった時は、昂奮のあまり、結局、詳しいことがわかるまで、時間がかかることもあるような気がします。
さて、そんな興奮状態のままでは、気持ちを切り替えることもできません。
そこで、オススメなのは、気持ちを代弁してあげることです。
しかも、最初は、
「おや~相当、嫌なことがあったようだね…」
と、余裕のある様子で、声をかけるといいと思います。
大人の側が興奮していては、さらに興奮の度合いを高めるだけです。
まず、余裕です~という様子で、動きをゆっくり、大きくするのも大事でしょう。
さらに、
「嫌なことがあったの?」
ではなく、
「嫌なことがあったように、私には見えるよ」
という、「私」のメッセージを投げかけます。
これは、船から海に落ちてしまった人に、浮き輪を投げるのと同じだと思います。
「おぼれてますか?浮き輪はいりますか?」
とは聞きませんよね。
とりあえず、浮き輪を投げますよね。
「嫌なことがあったようだね」
という言葉は、これから、あなたの興奮を一緒に静めて、気持ちをなだめていくよ、という合図の浮き輪です。
もちろん、「私」には、「嫌なことがあった」ように見えましたが、本人は違うかもしれません。
嫌、というより、悲しい、とか、腹が立つ、のような言葉の方がしっくりくるかもしれません。
そうであれば、首を振ったり、あえて反応しなかったりという反応があるでしょう。
その時は、
「じゃあ、〜なの?」
と、いい反応があるまで、聞いてあげればいいと思います。
ここまでするなんて、甘やかしている!
と、思われるかもしれません。
たしかに、そう思えて当然です。
が、私が思うのは、先々、自分の言葉で困っていることを言えるようにするためにこそ、今は、あえて、手を貸している、ということです。
手を貸してもらい慣れることは、依存癖をつける、という考え方もありますが、私の経験では、依存させないから、いつまでも依存してしまう、ということなのです。
ですから、将来、お子さんが自分のことを自分で主張できるためにこそ、「今」は、あえて代弁してあげることが大切なのだと思います。