自信と優越感は別。
お子さんに自信をつけたいと思っているお母さんへのヒント
我が子には、自信をつけたいんです!
そうおっしゃる方が、たくさんいらっしゃいます。
事実、テストの点数もよく、友達もいる子なのに、ひょんなことで、ネガティヴになる子も、多いと思います。
具体的な数字として、点数のよさが示されているのに、
「いや、これは簡単なテストだったから、実際にはできない…」
「先生は、そう言ってくれるけど、友達は、みんな僕が嫌いなんだよ。」
などと、度を超えて不安が強いのも、また困ります。
そんなお子さんをお持ちのお母さんは、それをよくわかっていて、我が子には自信をつけたい、とよくおっしゃいます。
それで、詳しく話を聞いてみますと、
「あなたは、これもできるし、あれもできるから大丈夫」
というような、言葉かけで励まされているようです。
もちろん、私も、子どもにはできていることに目を向けるようにアドバイスするのですが、度を超えて、不安が強いなら、方向を変えた方が良さそうです。
つまり、できることがあるから大丈夫、なのではなく、できなくても大丈夫、という向きで、励ますのです。
以前、頑張り屋さんの女の子がいました。
長女で、5歳年下の妹は、体が弱く、入院することもあり、手術するかもしれない、なんて話も伺った記憶があります。
それもあってでしょう。
彼女は、本当に頑張り屋さんで、頑張った甲斐あって、勉強も、よくできました。
なのに、いつも、まだまだ〜というムードを醸し出しているのです。
そんな彼女に、私も初めは、できているね、頑張ったね、と声をかけていたのですが、逆いってみるか〜と思い、あるテストの後、こう言ってみました。
「さすが、よくできたね!でも、たとえ間違えても、あなたの良さは変わらないからね。」
その時の彼女の顔…
ビックリしたような、目をパチパチした様子を、よく覚えています。
また別の男の子の話ですが、彼も同じような感じがあるな、と思ったので、似た言葉をかけました。
すると、
「お母さんは、そうじゃないみたいだよ」
とボソッと言いました。
これも印象的な出来事です。
お母さんは、たとえ少々、勉強でミスしても、何かをやらかしても、心の底では、許してくださると思います。
が、子どもの方は、肩に力が入っているのですね。
ちょっとしたことを、実態以上にとらえやすい傾向があります。
何かができるからよい、ということは、できなければダメ、ということと表裏一体です。
それに、その心理は、誰かより優れていればよい、という優越感の心理と密接に絡んでいると思います。
そうだとすると、自分のよさを他人の基準に照らす心のクセがついてしまうでしょう。それは、自分らしさを生かすこととは、実は逆の方向を向いているのです。
他の誰でもない「私」を生かす、ということは、何ができようと、できまいと、私は私というだけでいいんだ、ということを基礎にしています。
まぁ、私もなかなか、そうは思えないものですが、まず、私自身がそうあろうと思っています。