多くを語らなくても、本当に魅力があるなら、人は集まる。
逆に言うと、あんまりたくさんしゃべると、かえって人は離れる?
中国の歴史書である「史書」に、
「スモモは何も語らないけれど、その甘さや魅力で人が自然と集まり、道ができてしまう」
(桃李、物言わざれども、下、自ずから蹊を成す)
という意味の慣用句が載っています。
私は、この言葉がとても大事だな、と思っています。
私自身、大いに気をつけなくてはならないのですが、不安な時ほど、言葉が増えます。
「今日は、どうも子どもが落ち着かないな」
と思う時は、同時に、私の言葉も多い時です。
どちらが先かは別として、お互いの心の波が共鳴して、言葉が増えてしまうようです。
大人であり、教室の安全を預かる私としては、まず、自分が先に口数を減らす努力をします。
すると、次第に落ち着きを取り戻せることが多いです。
また、クラスで子どもたちを見ていても、不安に根ざした口数の多い子は、周りに、何かしらの違和感を与えるようです。
これはお調子者のおしゃべりとは、少し違います。
不安が根っこにありますから、何かしら自慢気だったり、攻撃的だったり、自嘲っぽさがあったりします。
そんな時、私はその子に、
「わかったよ。ちょっと口を閉じてみて」
と言い、何か読書なり、勉強なり、他のことに気を向けるように促します。
一旦、気持ちを他に向けて、言葉を止めないと、無用なトラブルが生じることが多くなります。
もちろん、私が見ていなければ、そんなことはできませんから、妙にアピール感の強い子は、どうしても、トラブルを抱えがちです。
ですから、
「そんなことをしなくても、十分、あなたは素敵」
「大丈夫」
という心持ちをベースにして、とりあえず、口数を減らしてみることが心を整える秘訣です。
そして、一気に自信をつけてあげよう、などと焦らずに、長い目で関わっていくことが大切です。
ご家庭で、お子さんの口数が妙に多かったり、何かしら言葉の端々に、「?」という違和感を感じたら、そんな考え方で、お子さんに接してみていただきたいな、と私は思います。