友達がいた方がいいか、いなくてもいいか。
漫画家の蛭子能収さんが書かれたという「ひとりぼっちを笑うな」(角川新書)が、16刷9万7000部のベストセラーになっているそうです。(産経新聞・自由でいるために、「ひとり」を選ぶ)
この記事によりますと、以前、LINEのトラブルをきっかけに、女子高生が殺される事件があった時、
「なんで、こんなことで殺されないといけないんだろう」
「友達同士のトラブルで、もめて殺されるぐらいなら、友達なんていなくていい」
と思われ、本を書くことにしたのだそうです。
悩みとは、どんなものであれ、結局は人間関係の悩みなのかもしれません。
お金の悩みだって、お金がないことなどの結果、発生する人間関係の大変さが深刻なのではないでしょうか。
そんなに悩むぐらいなら、人付き合いなんて、いらない。
むしろ、しない方がいい、というような気持ちになるのは、理解できます。
しかし、小学校の現役教師として、私は、友達の存在は、成長に不可欠だと思います。
いや、確信しています。
中学年にもなると、子ども達は、親や教師の大人の権威・価値観への挑戦をします。
反抗期、というよりも、挑戦期とでも言った方がいいのではないかと、私は思います。
そして、友達同士の関係性の中で、たくさんのことを学びます。
大人にとって、都合のいいことも、悪いことも…
ですから、大人にとって、都合の悪いことを避けようとして、大人が友人関係をコントロールしようとすると、子ども達は、友達関係の重要さをよくわかっていますから、大人をごまかすようになってしまうでしょう。
そんなわけで、子どもにとっての友人関係は、大人が思う以上に重要です。
でも、もちろん、そんなにバランス良くできるものでもありません。
ちょっとしたことに、過敏になりやすいものです。
「あ〜もうダメだ…もうひとりぼっちでいるしかない!」
などと、思いつめてしまうこともあると思います。
そんな時、蛭子さんの語る「一人でいる極意」は、心の支えになるのかもしれません。
ただ、「一人でいい」ということばかりに目を向ける必要はありません。
多くの場合、本当は仲良くしたいけど、うまくできない、思い通りにいかない、ということが根っこにあると思うのです。
だとしたら、初めから一人でいい、というのではなく、自分のホンネに正直になり、落ち着いて自己主張をした上で、一人になったなら、それはそれでいい、という「一人でいる極意」が大事なのではないかと私は思います。
興奮せず、落ち着いて自己主張のできる子は、結局、みんなから一目置かれます。
いざという時、頼られることも出てくるでしょう。
そうすると、結局、友達とうまくやれるようになっている、というわけです。
友達がいた方がいいか、いなくてもいいか。
その問いに対する私の答えはハッキリしています。
「友達は、いた方がいい。いや、いなくてはならない」
でも、本当に安心できる友達ができるまでの間には、一人になってしまうこともあっていい、ということではないでしょうか。