これはオススメ
「私の個人主義」(夏目漱石著)
夏目漱石といえば、吾輩は猫である、三四郎、こころなど、明治日本を代表する作家であり、日本人として知らないものはない、という人です。
そんな夏目漱石の著作から、私は「私の個人主義」をオススメしたいと思います。(講談社学術文庫)
「私の個人主義」は、実は大正3年11月に学習院で学生に向けて行われた夏目漱石の講演を文字起こししたものです。
そんな100年も前の古い話を、何を今更、と思われるでしょう。
確かに、文体や言葉は古く、読みづらいところもあると思いますが、漱石の言葉は、今の私達を大いに励ましてくれます。
「自分の個性が生きる仕事や場所をとことん探さないと人生の意味はない」
と、学習院の若き学生達に語りかけている漱石の言葉は、100年の時を超えて、私の背中も押してくれました。
私がこの本を知ったのは、まさに学習院大学の学生だった時です。
当時は就職氷河期、就職活動への不安がとても強かったのを覚えています。
自分はこれからどうしたいのか、悩んだり、諦めたり、妙に業界研究しようとしてみたり、あまり内容の濃いとは言えない時間を過ごしていたと思います。
ハッキリ言って、授業よりも、目白の喫茶店で親しい友人と語り合っていたことだけが思い出で、意味があったような気がしています。
そんな友人との会話の中で、夏目漱石の「私の個人主義」を薦められたのでした。
私は私。
そして、
あなたはあなた。
それぞれが、それぞれの責任で、それぞれの力を発揮させる、という当たり前のことを100年前の巨人は強く説いていました。
100年前の社会風潮と今とでは全く違うはずなのに、自分を本当に生かすことは、やっぱり難しい…
諦めたり、失敗を恐れたり、人の目を気にしたり…
精神文化は、そう簡単に変わるものではないのかもしれません。
しかし、私は現役教師として、子育てカウンセラーとして、いかにして個性を生かして、その人がイキイキ過ごすか、というテーマを核に持っています。
この本は、そんな私にとって、勇気を与えてくれる本です。
立ち読みできる分量です。
大きな本屋さんなら、置いているでしょう。
ぜひチラリと見てみてください。