「二分の一成人式」ってご存知ですか?
10歳・小学四年生が、ちょうど成人の半分ということで、親に感謝の手紙を書いたり、赤ちゃんの頃の写真を貼ったり、というようなイベントです。
確かに、四年生は、大きな節目です。
私は、今年、久しぶりに四年生の担任をしているので、三年生までとの違いを痛感しています。
基本的に、この「二分の一成人式」というイベントは、親にとって、涙を誘うものとして捉えられているようですが、人の生い立ちには、いろいろな事情があるものです。
赤ちゃんの頃の写真が全くない子、ずっと親からヒドい言葉を浴びせられて生きてきた子など、そういう子への配慮がないのではないか、という批判もあるそうです。
私も担任として、いろいろな事情と向き合ってきました。ですから、そういう批判の声には耳を傾けるべきと思います。
でも私は、10歳は特別な年として、慎重に子ども達の育ちを見守る時期だと思うのです。
以前にも書いた「10歳の壁」問題に代表されるように、特に男の子は心の変化が大きい時期です。
一方で女の子は体の変化が目前に迫ります。また、交友関係も、良くも悪くもさらに深まってくるでしょう。
だからこそ、これまでの10年間、どんな歩みをしてきたのか、真摯に振り返る必要があるのだと思います。
もし、赤ちゃんの頃の写真が全くなかったり、ずっと親からヒドい言葉を浴びせられて生きてきたりしたなら、思春期に備えて、しっかりと信頼関係を固めなくてはなりません。
子どもに、あなたは大事な存在なんだ、と実感してもらえるようにしなくてはならないのです。
ですから、難しい事情があるからこそ、10歳の式には意味があるのだと思います。
いえ、私が言いたいのは、式やイベントをすることの意味ではありません。
感謝の手紙やら赤ちゃんの頃の写真やらはどうでもいいのです。
思春期という荒波に漕ぎ出す目前の今、親子で真摯にこれまでの10年間を振り返ることこそ価値があると私は思います。
今日も最後まで、お読みくださり、ありがとうございた。